肉−Born−/影山影司
 
いた。朽ち果てた鉄骨のように突き出た灌木を一本へし折ると、それを両手で振り回しながらおうおうと叫び声を揚げた。私自身、何を意味して叫んでいるのかが分らない。どこかに潜んでいる敵に向かって威嚇しているのか、それとも逸れた仲間を呼んでいるのか。
 ずっとずっと遠くから、サイレンが聞こえる。


 壁面がびくついている。私の身体を、吸い上げるように扱く。ここは何処だ。現だ。寒い、と感じた。液体が足元から抜けている。その代わり熱を持った壁面が私の頭をぎうぎうと締め付ける。ついに私の身体が、この場所を破裂させる時が来たのだ。
 もがく隙間すらなく、私は身をよじって、壁を突き破らんと企んだ。限界だ。
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