肉−Born−/影山影司
 
考えるようになった。
 私は時折目覚めては瞬きの度に意識が切り替わるような感覚にまどろんだ。
 そして、ぐずぐずと崩れた煮物のように正体の無い夢ばかり見ている。あるとき私は魚だった。餌を求めるわけでもなく、新天地を探すわけでもなく当て所無く海を泳いでいると、いつのまにか幼稚な手足が生え、四足でもがく蛇になっていた。苦しみに耐えかねて陸地へ逃れ、そこらを這いずりまわっていると、私は、それから、また何かへ変容して、大抵そこで覚醒する。
 夢から起きても、現から眠っても、私は不自由な何かだった。


 今の私は背骨の曲がった人であった。ごつごつとした厚ぼったい指先で、乾いた土の上を歩いていた
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