少年の苦悩/wheale
君にはたくさん友達がいたけれど、誰も君の気持ちになることはできなかった。
だけど友達たちは優しかったから、君を笑わせたり、遊ぶことはできた。
しかしそれ以上は誰も君を救うことも、状況を変えてやることもできなかった。
人々は皆、もう少年と呼ばれる頃から自分の足で人生を歩かねばならなかったのだ。
汗のにおいのする教室で、彼らは既にみんな大人なのだった。
みんな長い重い人生を背負い出していた。
ただそう扱われはしないというだけで。
君は賢明だからとっくにそのことを知っていて、今夜も進み行く時間に歯を食いしばっていた。
ある夜、君は住み慣れたその街をはなれることを決意した。
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