猜疑と激情は滝になれ!/竜門勇気
 
涙があふれて、抱きしめようと手を伸ばしますが
おばあちゃんの肩は青空の遥か彼方。何ごとか優しく語り掛ける声はそぞろ。
かつて耳元で聞いたあの暖かさはそのままに、ただただ無意味なもこもこした
かぜの塊が頬を撫ぜるだけでした。

何で僕だけこんなに小さく、平べったく地べたに蹲ってなければいけないのだろう。
思わず神様に祈りかけますがつい先先日に無神論者になっていたのを
思い出し「ああ、姿なき、実体無き神よ。現実から見放された哀れな元支配者よ。」
こんな文言が口をつきました。
「存在を否定された存在が僕を裁くのですか?おお、神よ!」
いいえ、神に語りかけたのではありません。勝手に頼り
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