猜疑と激情は滝になれ!/竜門勇気
頼り、勝手に奪われる。
そんなものを神と認めたならば、それによって生きているとしたらこんなに醜いことはありません。
ただ、今は、おしっこをしたいのです。この歳で粗相をしでかした日には
神だの何だのといって、自尊心以外に守るもののない高宗ぶっている連中と
変わりないではありませんか。
しかしいまだ便所はふらふらと青くて青くてゾッとする空に浮かんだままです。
観念的なことを言えば「僕が浮いていない」ことと「便所が浮いている」ことの
決定的な隔たりが僕の尿意の行使を阻害している、といった状況です。
こまったなぁ、まいったなぁ。
仕方なく外で用を足そうと玄関の扉をつっかけを履きながら開けました。
そしたら外が浮いている。
こまったなぁ。どうしよう。
多分何もかもどうしようもないのだ。
俺は地面に張り付いたまま小便を漏らしながらわんわん泣いているしかないのだ。
神などいない。いるならば、この小便を止めてみやがれ!
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