フェアウェル/ホロウ・シカエルボク
 
ている
その煙の根元には何があるのかなんてちょっと想像がつかないけれど
もしかしたらあれは2009年の冬なのだ
2009年の冬が荼毘に付されているのだ
僕は火葬される今年の冬を思う
熱と煙にまかれて天に帰ってゆく今年の寒い冬を
その傍らで涙を流すものなんか何処にも居なくて
ただ天に帰ってゆく今年の冬のあっけなさを
彼らの記憶は新しい雪までもつことはない

落度の数を数えて過ごした
他に誰を責めることも出来ない落度の数を
明かりを消した天井をじろじろ眺めていると
いつかそれに押しつぶされるような気がした
どんなかけらもここには残らない、野に放てな
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