研究「緑川びの」(2)/生田 稔
い診察室に入ると
若い看護士に促されるまま
白いシーツにくるまれた
寝台に俺は横たわる
ついに
俺は運ばれるのか冥土の果てに
それとも
医師の生暖かい手ざわりが
俺の脳みそをかき混ぜて
俺を他の「鈴木さん」として
蘇生させようと言うのか
俺が名前を呼ばれた「鈴木」で無いならば
未だ診察の順番を迎えていない訳で
忙しそうに行き交う看護士を
ぼんやりと眺めては
欠伸をひとつふたつと数え
何時の間にか手渡された
石鹸を握り締める
私も入院の経験が幾度もある。
欠伸をひとつふたつと数え
何時の間にか手渡された
石鹸を握り締める ここんとこがとてもリアル
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