研究「緑川びの」(2)/生田 稔
 
のでネクタイもない、ネクタイがないのでそれで首も吊れない。考えてみたら、私はこの詩に真剣に向かいすぎ、超ブラック・ヒューマーなのに。でもそう言って笑えない気もするこんな人もいるかもねとも思う、これほどでないにせよ。では次の詩に行こう。





死診
緑川 ぴの

N大学病院の暗い廊下
名前を呼ばれるまで
俺は硬いベンチにじっと座る
ある種の臭いが辺りに漂う
無意味な延命治療を施された
患者が発する死の臭いか
それとも
薬漬けになった患者が吐き出す
プラズマのような薬品臭か

「鈴木さん診察室へどうぞ」
「鈴木」って言う名は俺の名か?
廊下にもまして暗い診
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