研究「緑川びの」(2)/生田 稔
はない。天から地に来た神の子であったという。それも私は疑わない。
でも聖書は正確に事実を写しているだろうか、神も天使もサタンも悪霊もパリサイ人とサドカイ人も確かに存在するに違いない、でも本当のことは何のだろう。もっともっと複雑かつ単純なのではないかと思う。では作品を読もう。
勝手憐
緑川 ぴの
生きるも勝手
死ぬも勝手
上司と情死
不倫の果てに
手に手を取って
思い出めぐる
片道切符
湯上り浴衣
抱き合って写した写真
を形見に
海波
砕ける断崖から
身を投げる
生きるも勝手
死ぬも勝手
目張りした
車中は
黒煙だらけで
目にしみる
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