研究「緑川びの」(2)/生田 稔
研究「緑川びの」(2)
デビュー作3作に続いて3作を考えてみたい。研究といっても、個人的なことは何も知らない。ただ詩についてのみ、語るほかはない。つまり詩評なのである。だから作者にとつては意外な深読みがあるかもしれないが、作品は作者の手を離れると独り立ちするのだから、単なる記号にすぎない文字が正確に作者を表すとは到底思えない。犯罪捜査でも供述書はたびたび不正確で、書き直し書き直ししても逆転無罪判決であったりする。詩も大部分フィクションである。歌手が、歌っている歌詞とおなじ様な人であるはずはない。作った作詞家だって同じことである。聖書のイエス・キリストは実在の人である。私には疑う余地はな
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