light the light/木屋 亞万
 
桃色だとわからなくとも
こころに温気を吹き込まれる心地よさと切なさは胸に溜まっていた、から

生まれる前、蛍と雪に出会っていた
それを同じ種のものだと思い込んでいた
星が空から剥がれてきたようにぼんやりと輝き
蛍は翌日黒い粒、雪は白い床に溶けるような白

生まれる前、たくさんの音楽を聴いた
それが蝉の声なのか、女の声なのか、弦の声なのか、皮の声なのか
何一つわからなかったくせに、魂を込められた音色に呼応する受け皿はあった
楽しかった、見えない光を感じるような、真昼の花火の空回り

生まれる直前に、大きな炎を見た
器官が熱を帯びて、繋がりあっていくのを感じた
これから僕
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