「 トカゲの日。 」/PULL.
 
して、何より同じものとして、解り合えたと今では思っている。
 そんな末の子ももうすぐここを出て、自分の家庭を持つことになった。先週連れてきた相手は、わたしや末の子と同じ、似たものたちだった。
 明日は末の子たちと一緒に、トカゲの皮を被り、沼にゆく。


六。

 沼で何をしているのかと訊かれたことがある。
 末の子が生まれてすぐの頃だ。むずかる末の子に乳をやっていると後ろで声がして、そう訊かれた。ねばっこい、はじめて聞く感じの夫の声だった。
 わたしは何もと答え、夫はそうかと言った。
 しばらくしてふり返ると夫の姿はなく、翌朝いつものように出掛けたきり、帰ってこなかった。
 
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