「 トカゲの日。 」/PULL.
一週間後、ふとふり返るとそこに、夫がいた。一週間前と何も変わらず、まるでそこでずっとそうしていたように、夫はいて、末の子に乳をやるわたしを見ていた。
あれから四半世紀経つが夫はあの日以来一度も、それについて訊いてこない。はじめは不思議でしかたがなかったが、段々、そういうものなのだろうと思うようになった。
今日も夫は何も訊かず、トカゲの皮を被るわたしのかたちをじっと見ている。わたしは気付かないふりをしてトカゲの、皮を被る。ぴんと張った皮の上に、夕べの歯形の跡が浮き上がる。見られている。ざらざらとする。皮の下がざらざらと、する。
七。
出掛けに夫が尻尾を踏もうとするが、い
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