風船/ホロウ・シカエルボク
 
すのが好きだった、まだ浮かぶうちに、高く飛べるうちに…遥か彼方に浮かぶ淡い色が一番美しいと思った、太陽の無い日には必ずその時のことを思い出すようになった、同級生がくたばったニュースと一緒に
誰とも言葉を交わさなくなったことを恥ずかしいと思う気持ちなどない、きっとこのまま思春期の呪縛を振り払いながら人生は流れてゆくのだから…流れ着いた先が果てしない滝壺であることは明白なのだし…もう最期を怖いとは思わなくなった、それはいつ訪れるのか予測の立たないものだからだ、見取ってきた幾人かの…表情を思い出す…そこにあって……どこにもなかったものたちのことを
風船を飛ばして…取り戻さないで、手の届くところに
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