風船/ホロウ・シカエルボク
 
ろに留まることがあっても…遥か遠くまで届けて、運命のように届かないところに…飛び去ったものは二度と見送らなくて済むから…魂の裾野を越えてくるいくつもの幻覚、数えているうちに限りない時間が過ぎ去ってしまうだろう、かけがえのないものなどすべて失ってしまえばいい、どうせそれは留まりはしないものだから……




一番最初に見送ったのは淡いグリーンの風船だった、空は果てしなく澄んでいて………母親は優しく俺の手を取っていた。





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