新国富論(1)/生田 稔
 
たいと思う。アジア全域はすっかり統一されたことはかってなかった。アジアをどこからどこまでをアジアと呼ぶかは大いに問題である。私は西の境をイスラエルとする。イスラエルはもともとセム人の国であり厳密にヨーロッパとの境を接する所ではなかろうか。
 アジアは貧しい、それが大きな問題である。ただ今は日本のみが豊かな国として存在している。日本の豊かさはどこから生まれたのであろうか、海国として、東洋の果てにあって、永くその自然の要害、つまり四囲海であるゆえに、容易に攻撃を受けることがなかったことも一つ、東洋の果て極東にあることは被征服民となることが遅れたゆえんであり、日本の閉鎖性、つまりは徳川時代の、鎖国主義
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