青木そうすけ≦プル式というカテゴライズ/プル式
 
その手を

少年はクラスで一人では無い
しかし少年はいつだって孤独だ
誰も気付かず
もしかしたら本人さえ気付かず
孤独になれるとはそういう事だ
すべての境目が解らなくなる
そういう事だ

放課後に少年は手紙を書いた
出来るだけ花の咲いている様に見える手紙を
それを教卓の上に置き
少年は教室を後にした
それは少年の精一杯の強がりだったのかも知れない
それは少年の本当の心だったのかも知れない

少年が帰り道に河原の土手を歩いていると
遠くから誰かが少年を呼ぶのが聞こえた
少年が振り向くと少年より少し背の高い
少年とそっくりな目をした青年が立っていた
青年は握っ
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