宵闇、半端な色味の懐かしい影と紛れ込んだゴブリンの鋭利な指先/ホロウ・シカエルボク
 
ほんの僅かに配色された影のようにそれはそこに居るだけだ、影としてはそいつはきっと蔑まれるぜ…実体か、本当に実体なのか、誰のものかも判らない記憶の中で、お前は確かにそこに存在しているのか…?俺にそれを確かめるすべはあるのだろうか、まどろみの長い廊下の先を、お前の影が見えるところまで走って?だけど、辿り着いたところで、お前は俺に名前すら告げることはないだろう…俺がそれを求めることもたぶんないのだろう…理由の無い世界、長い廊下にただただ光と影、おあつらえ向きな窓からの光線のかたち
廊下の先に居る女の腰の形を見つめているうちに、記憶の層の最も深いところにある何かが蘇る、(思い出してはいけないものかもしれ
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