宵闇、半端な色味の懐かしい影と紛れ込んだゴブリンの鋭利な指先/ホロウ・シカエルボク
時間に無意味な点を打つようだ…誰が俺の住所を知っているのだ、誰にも教えたことなど無いのに…投函された手紙には宛先など記されていなかったのに…?
死者に鞭打つように壁に掛けられてねじを巻かれ続ける柱時計はのそりと時を告げ、夕刻に鬼が忍びながらここに訪れる、俺が恐れるものがいつか俺を救済するだろう、すべのない時間にはそういうことわりが信じられるものだ、俺が恐れるものがいつか俺を…冷えた飲物を口にして何度も狂ったけれど、ただただ座していた、微塵も無かった、肌を越えてくる渦巻きなど…ただ宛先の無い手紙のように俺は座していたのだ、どこに行く当てもない薄ら寒い暮れ方だから、訪れた鬼すら数度首を横に振るだけの
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