ぼろぼろのつばさ 4/青色銀河団
 
うな花火が沈黙しつ
つ彼方へ消えていった。

2
真赤な少女たちが風のように駆けよってくる水滴に
満ちた紅い花のその名を呼べ。深い鏡を覗き込むとき
傷つくほどに満ちたあおそらにかかる金色の虹のそ
の名を呼べ。若き日において朝の世界のかわりに世界
に満ち満ちた暗黒のその名を呼べ。

3
ふるえる幻影の朝のなか、透きとおった身体をもつ妻
がうたう舟歌のつくりだす樹木や森や山ほどの喜び
の存在意味をもっているのか。砂に埋もれたままの蝉
のぬけがらほどの鈍色の存在意味をもっているのか。

4
新しいせかいにおいて地上の氷の割れる音のすぐちか
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