君の背中に追いつかない/秋桜優紀
だ、生きていたいよ。君を天国で一人ぼっちにする罪悪感もあるけれど、まだもう少し待っていて。君が遺した、九百九十九羽の鶴と、最後の一枚が、私をここに縛り付けているから。
赤色の鮮やかな折り紙に、目を瞑っても折れるほどに身体に染み付いた手順で、少しずつ形を与えていく。一折一折、強く願って。
生きたい。生きたい。生きたい。
溢れてきた涙で、視界が曇る。零れた涙で紙がふやける。それでも構わず、私は手を動かし続ける。だってこれは最強の千羽鶴。こんなことではへこたれない。
仕上げに首を折り曲げて、「悠人スペシャル」の完成。掲げてみると、すっと前を見る姿勢が、何とも頼もしい。前を向いて、前進、だ
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