三拍子が変拍子(耐えがたい悪臭のワルツ)/ホロウ・シカエルボク
 
フのワルツを演奏していた
ウェイターが運んでるワイングラスには搾りたての
犬と猫と狸とフェレットの血がなみなみと注がれていた
処置をしない骨折がおかしな具合に完治した女が
次々と空にしてやがてぶっ倒れた


もみの木からぶら下げた
骸骨のアクセサリーが一番きれいなものだった
バイオリンは同じ旋律で必ず音を外した
ラバーマスクを被った男がマルクスを朗読していたが
ろくに歯が残ってないらしくてふにゃふにゃとしか聞こえなかった
ありがとうございます、と何度も繰り返してる黒目が変な方を向いた女の子がいた
誰も彼女に感謝を受けるような真似はしていなかった

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