執行猶予/ホロウ・シカエルボク
 
かな?
こっちじゃなくてあっちの火の海の側あたりでさ
てめえの肉の焦げる匂いっていつまでもつきまとうよな
つまりはそれが罪ってもんの性質なのかなぁ?
なあ俺あんたに会ったことあったよな、もしかしたら互いに殺し合って
互いの肉を食らったこともあったかもな
残念だ、食らいついてみれば思い出せるかもしれないのに


ざああ、強い風が木々を揺らす音は荒れる海に似ている
こんなに強い風がいつまでも吹きすさんだのはいつ以来のことだろうか
凍った鼻先を犬のように鳴らしながら
俺の襟足を待っている運命のギロチンのことをぼんやりと考えた
寒い、冷たい
どんな季節にもやり込められてきたよう
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