暗号/土田
の自由に日々の当ての無さを悟った
昔々どこぞのじいさんは悟るまえ木を切り水を運んだという
そして悟ったあとも木を切り水を運んだという
だからおれはこれからも夏には虫取り少年の格好でいよう
携帯で時間を見ると彼女からメールが届いていた
目を凝らしながら見つける数えるくらいの星空も十分素敵だよ
そう返信しようとしてそのままメールを未送信ボックスへと追いやった
送信履歴には彼女と二、三人の名前しかなかった
おれは儀式のように空を仰ぎ星を探したあと
宛て先のないメールを五文字打ってそして削除した
八月十五日
血色のいいブラウン管をのぞいてみると
くそばばあが典型的な日本の家
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