「オルゴール」 (リレー小説・三題噺)/佐藤犀星
も彼女にも。だけれど、あのころの僕はどうかしていたんだ。
いくら夜だったからといって。そこは暗くて、あの書斎で、オルゴールがあって。だとしても、きみと彼女を間違えてしまうなんて」
そこからの内容は、目を背けたくなるようなものだった。彼女は、私の親友で幼馴染みの彼女は、その夜から変わったという。それは仕方がないことかもしれない。あの人に抱きしめられて、そっと口づけをされたのだから。
手紙からはあの人の悔やみが、悲しみがあふれていた。何度も謝罪があった。私にも、彼女にも。
そして私は手を止めた。最後の一枚。あの人が
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