直線の声を聴く/バンブーブンバ
そういうことだ。ドラフターの平行定規に左手を添える。添えるというよりかは導かれる。いや、縛られる。かれこれ十一年と二ヶ月と十九日間、直線とお付き合いを続けている。少なく見積もっても、週三日ドローイングに汗をかく。一日の作図量は長さにしておよそ二十メートルは下らない。考えてみよう。中断。一ヶ月でおよそ三百メートルということになる。三千六百メートル。一年で。十一年だと三万九千六百メートル。すると四万三百八十メートル。か。無駄だった。たいしたことない。フルマラソンにも至っていない。モトイ。方眼を見ているのかそうでないかといったイイ加減な眼差しで始点を落とす。この時点で既に線は描かれている。というより、描
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