直線の声を聴く/バンブーブンバ
 
、描かれなくてはいけない。線を引くということは、点を置くことだといえる。つまり、瞬間に生まれ、そして死ぬのだ。本当だろうか。確かに、線はとても死を暗喩していると思う。「線が生きていない」と罵倒されたことが今ではとてもおかしく聞こえる。先生、線は死んでいると思いませんか。左からコンマ五秒に満たない速度でスライドさせながらジャーマンを自転させる。一回転。どんな長さにおいても一回転と相場が決まっている。終点。来た道跳ね返す。黒々と粉吹きながら横たわる四十センチの屍を眺める。直線の描き方。直線の振る舞い(フリーハンド)では直線は描けない。行為と結果は一致しない。当たり前だ。ぼくらだからだ。一息ついて、瞼を閉じる。もう一度、真下に方眼三マス空けて、あてもなく直線の振る舞い(フリーハンド)で直線を試みる。水平線の描き方。直線の振る舞い(フリーハンド)で水平線が描ける。というよりかは、描けるようになる。なるほど。しばらくして、席を立つ。直線に辞表を叩きつける。
水平線を描くためだ。
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