アジアの純嘘/土田
 
語をたずさえ
“開けドア“とあやまってロダンの地獄の門の前で叫んでいていたとしても
いまぼくはそれらをありのままに
熱帯夜の下でユゴーネが叩くガムランの調を耳にしながら
すなおに直視することができるとでもいうのか

すべての大人はありのままを
世界を飾り付けるように輝かせ
そんなもんさとぼくは風を待ちわびている

もし生きる意味を探してこんがらがったダブリンのパドブリックも
もし死ぬ理由を探して馬鹿馬鹿しくなったナポリのアーリナイも
もし白のパンダがのうのうと動物園の檻のなかで笹の葉をむしゃりと食べながら
白のパンダ同士が性行為をしているビデオを見ているとしたら
すこし
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