君の背中に追いつかない/秋桜優紀
い思いをしたのだろう。九年間育てた息子が死んでしまうというのは、どれだけの痛みなのだろうか。想像がつかない。今私が感じているこの痛みよりも強い苦痛が存在することを思い描くことなんて、絶対にできない。私はこの痛みだけでさえ、もう今にでも死んでしまいそうなのだから。
彼らは、私に大きな紙袋を差し出した。何かがぎっしり詰まっている様子のそれは、受け取ってみると存外軽い。
中を覗くと、そこには色とりどりの鶴たちがいた。赤、青、黄、橙、藍、紫、緑、桃、白、黒、金、銀――無数の色彩の中に、首を伸ばした鶴と、首を折り曲げたものが見てとれる。それだけでわかる。間違いなく、私たちが作った千羽鶴だ。
「悠人
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