君の背中に追いつかない/秋桜優紀
は生まれて初めて、朝を迎えることの美しさを感じていた。
そのまま一睡もしていない状態でベッドの上でボーっとしていると、突然知り合いの看護士さんが病室に駆け込んできて、真っ青な顔で私に告げた。
私は耳を疑った。いくら何でもタチの悪すぎる冗談だと思った。それでも、看護士さんがずっと神妙な面持ちを崩さないのを見て、どうやらそれが本当らしいと理解するに至った。
悠人が死んだ。
本当に信じられなかった。悠人は、私にとって死からかけ離れた存在だったのだ。いつも明るく笑っていて、つまらない冗談を飛ばしては私を笑わせる、「生」そのものだったのだから。
「悠人君は、生まれつき心臓に欠陥があってね
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)