君の背中に追いつかない/秋桜優紀
ば、悠人は後追い自殺でもしなければならない。悠人にそんなことはさせたくないし、彼も――したくはないのだろう。だからこそ、約束を破棄しに来た。はっきりと、直接に言葉で。
「そっ……か」
わかってはいる。律儀な悠人が、諸々のことをはっきりさせようと思って、悪意なくここまで来たことくらい。それでも――
あんまりじゃないか。私が助からないことを念押しに来たような、そんなこと。他の誰よりも、悠人の口からは聞かされたくなかった。だって、そんなの――寒気がするくらい残酷じゃないか。
涙を流したくても、肝心なときには少しも零れない。ただ、いつものように嗚咽が漏れるだけ。悠人を抱きしめる腕に一層力をこめた
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