君の背中に追いつかない/秋桜優紀
 
ないことで笑いながら鶴を折る楽しい時間を送る元気さえも、次第に失われていった。
 私は死ぬ。悠人のお陰で忘れかけていたその現実を、改めて目の前に突きつけられた。寒気が、した。今まで想像していたよりも、死はずっと怖くて、得体の知れないものだったのだ。
 だがそれ以上に、少しずつやつれていく私を心配する悠人の顔を見る度、胸の中の、普段は触れることもできないような一番奥のところが、ズキリと痛んだ。このまま死んでいく私を見て、悠人は何を感じるだろう。そのとき彼を襲うであろう絶望や悲しみを想像してみるだけで、私の目尻からは涙が溢れ、唇からは嗚咽が漏れた。顔を伏せる私を心配そうに覗き込む悠人の表情は、胸の
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