君の背中に追いつかない/秋桜優紀
 
アップ」を施しているのをクスリと笑って、自分の作業に移ろうかと次の折り紙に手を伸ばした。
その刹那、目を落とした手元が急に真っ暗になった。ほんの一瞬の暗転の後、私の目に飛び込んできたのは、赤黒い液体に塗れたシーツと、青色だったはずの真っ赤な折り紙。更に、喉の奥から大量の血流がこみ上げてくる。
 悠人がすぐに人を呼び、その場は一命をとりとめた。しかし、その後の検査で示された数値は最悪のものだった。もう、いつ死んでもおかしくない状態。これだけ悪いと、素人の私にだってはっきりとそうわかる。
 それからも度々発作を繰り返し、私は肉体的にも精神的にもギリギリにまで追い詰められていった。悠人とつまらない
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