君の背中に追いつかない/秋桜優紀
見ているだなんて、そんなことは私には無理だ。
母は悪くない。だが、病気の娘を支える母親という役回りを果たすには、幾分弱すぎるのだ。自分の感情に素直になりすぎて、それによって私がより辛い思いをしていることに気付けていない。
無意識に卑屈な笑みを一つ漏らし、そのままベッドに倒れこむ。交換されたばかりでパリッと糊の利いた掛け布団を胸元まで上げると、急激に眠気が襲ってきた。
今日は疲れた。たくさんの出来事があり、たくさんのことを考えた。それが、結局はどこにも辿り着かないものだと知りながら。
このまま、目が覚めなければ良いのに。――どれだけ、そう願っただろうか。いつも結局、叶わずに目を覚ます。その度
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