君の背中に追いつかない/秋桜優紀
 
をひとつずつ思い返しては、人工の光にあっさりとかき消されてしまいそうな、悠人から受け取ったよくわからないたくさんのもやもやとしたものを、ずっと心の中で転がし続けていたのだ。

 悠人はそれから、ほとんど毎日私の部屋にやってきた。
 十六の女子高生と九歳の小学生(悠人はしきりに「高学年だからな!」と念を押していた)がすることなんて、特に一貫していない。他愛ない雑談(やっぱりあの女の子のことは好きみたいだ)や、勉強(悩みどころに見当すら付かない問題と、悠人はずっと睨めっこしていた)や、ボードゲーム(お祖父ちゃんに教わったらしく、意外にも悠人は将棋が強い)等々、どれも全て退屈凌ぎ程度のものだ。

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