君の背中に追いつかない/秋桜優紀
いぐるみをとられたこととは違う理由で酷く悔しそうだった。彼の気持ちに見当がついていながら、少し悪いことをしてしまったかと思い当たったが、それはそれ。彼がしたことは、あの女の子にとってはただの「意地悪」でしかない。きっと苦しい時間だったのだ。私がしたことは、そう間違ってはいないはずだと思う。
「どうしてって、あれはあの子の物でしょ?それも、きっと大切な」
「違うよ、あれは、だって、あいつが……」
「いいから。仲直りしたいんなら、ほら。謝ってきなよ」
「だっ、誰があんな奴と!」
「あんな奴だなんて言うもんじゃないよ。大事なお友達なんでしょ?」
「うるさい!そんなわけねぇだろっ!」
「ふー
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