君の背中に追いつかない/秋桜優紀
ふーん……」
「そっ、そうだよ。だから、余計なこと言うなよ!」
子供とは言え、さすがに少しカチンときた。短気なのは昔からだが、病院暮らしのストレスと相まって、最近益々我慢ができなくなっている。
「俺だってしばらくしたら返したよ!余計なことすんなよ!」
「――そう」
「だからっ、あ……」
私は、少し機嫌が悪くなるとすぐに過剰に顔に出る。別にそこまで腹を立てているわけではないのだが、普段が柔和な顔つきであるが故にギャップが大きいのだろうか。友人には「女神の怒り、って感じ」と形容されたこともある。
私の鬼気迫る眼光に、子供ながらに気付いたのか。一歩、男の子が後退る。
「じゃあね」
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