狂えないというゴキゲンな現象の中で俺は歯ぎしりをする、そしてそれはお前だって同じだ/ホロウ・シカエルボク
無い、深く知ってしまうと担げなくなることもあるかもしれないからだ、家族は往々にして年老いていて、誰も新しい苦しみなど持とうとはしたがらない、使用人たちのわずかに陥没したどちらか一方の肩は、しいて言えば彼らが宿命的に引き受けてきたもののいびつさの象徴なのだ、喉を鳴らす猫のように雷が鳴り始める、暗い明け方に始まるものはすべてが報われない…排水溝へ流れ込んでいく黒ずんだ水の流れのようだ…(おかしいのだ)、長い長い時間をそうして生きてきた担ぎ屋たちはおいそれとは堪えられない違和感に耐えながら歩みを進め続ける、もしも彼らに今よりもほんの少し、神に仕える身であるとの自覚が足りなかったとしたら、彼らは葬列を外れ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)