ひなたへ/長谷川智子
つろな眼と心をしていたらしい
外も薄暗くよるべのない灯りばかり
そこここにひもじく卑屈な眼がうようよと辺りをうろつく
擦るマッチも失くなるといよいよ寒さは増す
幼い私の中で黒く澱んだものがくすぶり始める
そしてとことんそれを薄め透かせるやり方を知ることもなく
ぬくもりの感じられない箱の中
私たちはつめたさを育んできた
育まされた、というべきか
航空母艦になり得ない不安さ
不安定さ
夫婦でありながらほんとうは片側のプロペラだけで動いてた飛空挺
寒い風はしだいに勢いを増していた
たじろぐ身
凍えるココロを抱え眠りにつく日々
他人は結局誰も助けてはくれない
足を安
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