「不思議の国のアリス」に尽いて 〜児玉あゆみ・覚書〜 /服部 剛
 
日常生活で
は二十歳の女の子としての面と、実はその仮面を取った
独りの時間では、全ての装いを取り除いた、詩人の魂の
みが、色づいて暗闇に光っているのが見える。そんな独
りの時間でグラスを傾けながら、過ぎ去った時間を追想
しながら、店を出てふたたび、家へと続く夜道を歩く。

 「月で餅をつくウサギ」の話をしたことのある恋人の
目が、別れる時は(ウサギの目をしていた)というとこ
ろで、涙目を連想するが、この世は時に、一人の人間の
力ではどうしようもないこともある・・・という哀しみ
と彼への言葉にならぬ思いが、次の言葉から伝わる。 


  何億光年前の光をわたしたちは見
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