「不思議の国のアリス」に尽いて 〜児玉あゆみ・覚書〜 /服部 剛
 
は見上げた
  月が光るのは発熱するからで
  わたしが発熱するのは
  あなたと同じ月を見ているから
  心の中に降り止まぬ月とあなた 


 そして、その後に「飛び跳ねるウサギ」のイメージが
繰り返し登場するメルヘンと切羽詰った情感で読み上げ
る意外な二重奏のような朗読も、大人の女性へと孵化す
る前の「アリス」の心情が見えるようで、この詩を聴く
人を魅きつける構成だと思う。 


  ウサギがぴょんぴょん駆け抜けて
  わたしは見上げて涙が零れた
  ウサギさんぴょんぴょん駆け抜ける
  わたしは息を止めてメインストリートを抜ける
  ウサ
[次のページ]
戻る   Point(2)