「不思議の国のアリス」に尽いて 〜児玉あゆみ・覚書〜 /服部 剛
は見上げた
月が光るのは発熱するからで
わたしが発熱するのは
あなたと同じ月を見ているから
心の中に降り止まぬ月とあなた
そして、その後に「飛び跳ねるウサギ」のイメージが
繰り返し登場するメルヘンと切羽詰った情感で読み上げ
る意外な二重奏のような朗読も、大人の女性へと孵化す
る前の「アリス」の心情が見えるようで、この詩を聴く
人を魅きつける構成だと思う。
ウサギがぴょんぴょん駆け抜けて
わたしは見上げて涙が零れた
ウサギさんぴょんぴょん駆け抜ける
わたしは息を止めてメインストリートを抜ける
ウサ
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