旅の始まり/北斗七星
暴れ走る稲妻の背中に跨り
その鬣(たてがみ)を掴み
空を駆け抜け大地を蹴る
旅人の話に
少年は目を丸くした
溜め息の葉や迷いの蔦が
生い茂る
空さえも覆う森の
その奥にあると言う
知恵の大樹の言の葉
旅人の話しに
少年は息をのみ聞き入った
滾々(こんこん)と沸き上がる
澄んだ恋する泉の畔で
竪琴を奏でる女神の歌声
旅人の話しに
少年は胸を熱くした
どんなに歩いても
変わらない景色が続く
不安の砂が広がる大地にも
咲いているという
希望のサボテンの花
その地平線を越えると
数えきれない時の波を数
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