旅の始まり/北斗七星
を数える
心の海が広がる
旅人の話しに
少年は旅に憧れた
旅に出たいと
少年は旅人に話した
どうやって
旅に出たらいいのかを尋ねた
しかし旅人は少年の目を見つめるだけで
何も語らず
ただ微笑んでいた
旅人と別れた少年は
なぜ旅人が微笑んでいただけであったのか
どうしたら旅に行けるのかを
教えてくれなかったことを
思いを巡らしながら歩いていた
少年と別れた旅人は
暫く歩くと振り返った
旅人の瞳には
何かを背負って歩くような
少年の小さな背中が映った
そしてもう一度
その小さな旅人の背中に
何も語らず微笑んだ
小さな旅人が背負った
夕暮れの空には
一番目に見える星が
はっきりと輝いていた
戻る 編 削 Point(1)