半端な命は下水管で腐敗するんだ/ホロウ・シカエルボク
 
けれど
洞窟とモンスター、見上げるほどの縦穴の中に居る―そんな連中が嬉々と跳躍する断片だけは残り続けて
しがみつけない和式便所の喉元に呪詛を零しながら鍵を開くと世界は驚くほどの光に満ちていてそのすべてが俺の網膜を焼こうとする、やめろ、やめろ…俺はまだ祝福など受ける腹づもりじゃないんだ
足もとに夏の蝉の死骸、落葉とともに落ちてきた夏のぬけがら、拾い上げようとしても崩れ去るだけ
心残りを抱いた泡のように…引っかかりながら割れて消えてゆくだけ、ああ、何を見ようとしてる…駐車場の向かいの横長のマンションの角部屋からけたたましい子供の笑い声、俺は蝉を拾おうとした姿勢のままで新しい呪詛ばかりを撒き散ら
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