段差のない家/木屋 亞万
てきてくれた
「そっちは主人専用のアウトバーンよ。人間用の入り口は裏の勝手口なの、驚かしちゃってごめんなさいね。もうすぐ主人も帰ると思うから、お茶でも飲んで待ってましょうか。もう、あの人ったら、毎日子どもみたいに速度無制限区間で遊んじゃって、馬鹿みたいよねえ」
と、奥さんは恋する少女の横顔で微笑んでいる
台所でお茶しながら、奥さんは
「この家も今は、道と台所だけだから、スッキリしちゃって。階段もドアもない、外壁はあっても内壁はない、ずううううっと道なの。主人もずっと惹かれてたサニーになることができて、幸せそうだし、良いセカンドライフよね」
と、言ってテーブルの写真立てを見る
ど
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