段差のない家/木屋 亞万
付き一戸建てという感じだったけれど
自動車で住めるように改築したということで
どのような家になっているのか、期待に胸を膨らませながら
1週間後に先生の家を訪ねた
外観は全く変わっておらず、また車庫にも先生の姿はなく
ということは屋内にいるのだと、インタホーンを鳴らす
「どうぞ」という奥さんの声が聞こえて、よく手入れされた松の植えられた庭を抜け
ガラガラと扉を開ける、と目の前にスロープがあった
いや、スロープというレベルではない
緩やかな傾斜の坂道がずっと真っ直ぐ、先が見えないくらい遠くまで続いていた
またしても扉を開けてフリーズしている私の元に
勝手口から奥さんが回ってき
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