書くこと、まどろむこと、決めること/渡邉建志
 
いし、それこそがルドンの黒の時代にもスクリャービンの前期にも武満の前期にも共通する、
マグマのような欲求、衝動のようなものをつうじて得られた、モーメントなのだと思う。

初期に爆発的にまわりはじめた天体が、拡散していきながらだんだんと回転を遅くしていくのだけれど、
角運動量は保たれなければならないし、エントロピーは増大していかなければならないから、
この夢のような拡散とその回転の遅さは、かならず、最初の高密度での高速回転がないと得られないのだということ。
そしてこの過程は不可逆なのだということ。
ある作曲家が、夢のような「セレモニアル」を初期に書き、マグマのような「アステリズム」を後
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