書くこと、まどろむこと、決めること/渡邉建志
 

わたしだって付いているのに、と言った。恐怖は、わたしがその夢をとりあえず延期することにするまで去らなかった(結局、諦めて他を探すと言う決断
すらできなかった。)

わたしが18歳までに学んだことは、「決断を遅らせる」という消極的な生き方だけだった。ディレイ・オプション。遅らせて、何とか、不安をやり過ごした。
だけれども、遅らせているうちに、自分が、そして周りが、肉体的にも精神的にも、年をとっていくことに徐々に気付いた。
でも、もう静止を、止められなかった。もう、すべてを始めるには、いつも、遅すぎた。無鉄砲に憧れながら、無鉄砲になり得なかった。
なぜなら、無鉄砲になるということは、習
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