書くこと、まどろむこと、決めること/渡邉建志
 
んな選択は罪であるとしか思えなくて、だから、事実上、その「力」ぽいもの<だけ>で決めたことがなく、結局その力があるのかないのか
すら分からない、ただ、その力の上に片足を乗っけてみた結果、いつも目の前が暗くなって立ち眩みがして怖くて身体が震える、ということは、たぶん、
その上に立つ力が、ないということ、だと思う。
わたしは、いまだに、ローマの音楽院を訪ねた後で、Nとスペイン階段で座っていたときの会話を忘れられない。わたしは狂ったように怖い、と、暗い、を
繰り返していた。Nは、なぜ未来のこと、自分がやりたいことを選んだり、考えたりするのに、うきうきしないのか、楽しくないのか、理解できない、

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