書くこと、まどろむこと、決めること/渡邉建志
 




*



それがない人間を産んでしまうことこそ、受験勉強の弊害だと思う。
人生で一番大切な15歳から18歳の時間を、わたしはただ、いい名前の大学に入れば何かが解決してくれるだろうと思っていた。馬鹿だった。
勉強に逃げていた。わたしは自分の人生を生きることから、怠けていた。
もしわたしのような人間が、くいっぱぐれて塾講師になるとして。
受験人生に巻き込まれたことをうらんでいる人間が、それをまた子どもたちに繰り返させるという構図。
それは悪の再生産そのもの。
わたしのようになるな、と言いながら。

「勉強よりも、自分で決める力の方が100倍は重要だね!」と友
[次のページ]
戻る   Point(6)